2022年03月03日

日刊工業新聞記事掲載 躍動 ニューノーマルを生きる成長企業群

日刊工業新聞記事掲載

躍動 ニューノーマルを生きる成長企業群(69)多田プラスチック工業

一部記事抜粋

(画像:良品数、不良数などの生産日報をタブレット端末に入力する)

多田プラスチック工業(大阪府藤井寺市、前田政利社長)は、プラスチックの射出成形、発泡ウレタン成形、小型ポンプの製造を手がける。家電製品や産業用機器、自動車、医療など顧客の裾野を広げてきた。要望に応えるスピードの速さと品質の高さは顧客から一目置かれる。その背景には、従来から取り組んできた生産管理のデジタル化と生産の自動化がある。2011年から順次全事業の生産管理を紙ベースからタブレット入力に刷新した。生産設備1台ごとにタブレットを設置し、良品数、不良数などを入力すると、遠隔からリアルタイムで生産の進捗状況を確認できる。不良数がどれくらい出ているのか、その原因は個人の能力なのか、部品供給の遅れなのかなど品質向上に向けての活用や、間接部門と共有することで迅速な部品の発注にもつなげている。

2011年からデジタル化加速
前田社長は「変化に対応して姿形を変えていかないと生き残る道はない」と強調。コロナ禍で事業環境が目まぐるしく変化する中、「デジタル変革(DX)が競争力を高めるカギとなる」と説く。
3年前からDXの取り組みをさらに加速。射出成形事業では画像処理技術を導入し、一つ一つの製品の画像データを残して、キズや黒点がないのかの不良品検査や、いつ生産したかのログデータを全て記録し、トレーサビリティー(履歴管理)の確保につなげている。また金型の中に圧力センサー導入し、圧力の波形の乱れを検出できるシステムを構築した。

「変化に対応 姿形を変えていく」
精密部品などの射出成形は高い品質を維持しながらの量産体制が求められる。「時代とともに顧客からの要求も高くなっている。」(前田社長)。だからこそ自動化による品質管理の徹底が顧客の安心感につながり、新たな受注に結びついている。
大手化学メーカーのカネカから、環境に配慮した新素材の生分解性ポリマー成形品の生産を受託したことも成果の一つ。多田プラスチック工業が得意とする成形技術に加え、自動化設備による品質の担保をスピード実現したことが評価された。
同社は、現場の声を聞きながらシステムを独自にカスタマイズしている。「外注で一気にやろうとせず、小さな成功を積み上げていくこと」(同)を大事に、DXを着実に現場に浸透させている。
今後は、射出成形以外の事業部でもさらなる生産の自動化を進める方針。将来的には蓄積したデータを活用して故障予知や不良分析、成形条件の最適化を目指す。(大阪・池知恵)(木曜日に掲載)

投資会社の目線
【大阪中小企業投資育成 業務第1部・清水了介調査役】材料の研究開発から量産まで、優れた技術力・提案力により顧客の課題をワンストップで解決する合成樹脂のエキスパート。

業歴100年を超える老舗でありながら、生分解性ポリマー製品の量産技術開発など、社会課題解決にもいち早く取り組んでいる。

(2022/3/3 05:00 日刊工業新聞)

 

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