2021年10月04日

日刊工業新聞記事掲載 不変と革新 長寿経営に向けて 顧客の想像を超える提案

日刊工業新聞記事掲載

不変と革新 長寿経営に向けて 顧客の想像を超える提案

一部内容抜粋

(2021年10月4日 日刊工業新聞

 

プラスチックの射出成形を得意とする
多田プラスチック工業(大阪府藤井寺市、前田政利社長)は、
2019年に創業100周年を迎えた。
創業期はエボナイト(硬質ゴム)やセルロイドの原料を
用いたゴムの加工業を生業とし、
今でも樹脂一筋に事業を続ける。
その一方で、前田社長の精神には常に“不易流行”が刻まれる。

同社変遷の根本にあるのは
「本業そのままではなく、離れるでもなしに、
内容を変えることだ」(前田社長)。
戦時中に軍需品であったセルロイドが徴発され、
本業が立ちゆかない危機に直面。終戦後、
国内では珍しいプラスチックの射出成形技術を
いち早く取り入れ、金属製品の樹脂化に着手した。
調理・家電製品を樹脂で軽量化した先駆者でもある。

その後、高断熱性の発泡ウレタンの成形事業に参入。
血液輸送ボックスなどの医療や、
風呂フタをはじめとした住宅設備へも裾野を広げた。

「常に顧客の想像を超える“ウォンツ”を
引き出すことが重要」(同)と提案力に磨きをかけてきた。
また、信頼関係を重視し「何十年以上付き合いの
ある顧客は10社を超える」(同)という。

次世代に向けた事業の種まきも着々と
進めている。小型ポンプ「マイクロポンプ」の開発研究だ。
19年には世界最小クラスとなる直径1・5センチメートル、
長さ4・4センチメートルのダイヤフラムポンプを開発。
現在は、成長産業として期待される
車載用のカメラレンズやセンサーを洗浄する用途へのポンプを開発中だ。

時代の変化に対応していくには
トップの決断が伴わなければいけない。
「全員が賛成したときでは遅いということ。
“不易流行”の実践には全員が反対したときの
決断力が問われる」(同)。
次の100年に向けた事業構想も描き始めている。

【企業メモ】1919年(大8)に
「多田製作所」として大阪市生野区で創業した。
プラスチックの射出成形、発泡ウレタン成形、
小型ポンプの製造を手がける。
社是は「アイデアと技術で 社会に貢献する 魅力ある会社」。

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